『サヨウナラ』をするという事について。
最近夢を見る事は殆どなかったんだけど
朝方頃だろうか珍しく夢を見た
人との別れの夢
悲しいというよりは
切ない気持ちになる夢
その日の夕方頃
以前組んでいたバンドのメンバーが
遥か遠い限られた者しか行けぬ場所へ
旅立ったことを知った
数年前に倒れて
意識がほぼ無い状態だった事は
人伝に聞いてきたのだが
それからどうなっていたのかは
知らないままだった
一緒に音を鳴らしていた時の事を
ほんの少し思い出してみる
確か自分の仕事がとても忙しい頃で
毎回ライブ30分前にライブハウスへ駆け込み
慌てて支度してそのままステージへ
とても懐かしい日々だ
彼は優しくてとても不器用な人だった
でもライブ後に突然ブチ切れて
えらい大変だった事もあったっけ
一緒にインプロのライブに出たり
彼の計らいで憧れのミュージシャンと
1曲だけ同じステージに立つ事も出来た
彼と共に音を鳴らした期間は
それほど長くはなかったけれど
彼のおかげで
色んな角度から様々な世界を
見る事が出来た
何となくだけど
過去との訣別というか
今をちゃんと生きなさいと
そんなのとっくの昔に決めて
そうやって生きてたつもりだったが
改めてそう言われているような
身の引き締まるような
そんな気持ちで
涙は流さないよう
どうにか堪えた
今は外へ出る事も
ましてやライブをする事も
難しい状況で
この世界は段々と闇に落ちていく
不可抗力で量産される頭のおかしい人々の
身勝手な言動に惑わされず
私は自分の賞味期限が迫る恐怖に怯えながら
どうにか此処に立っている
いつになったら終息するかも
全く先の見えない中
でも私は今という瞬間を大切に生きて
いつかライブが出来る様になったその時は
先に旅立っていった彼の為だけに
1曲歌おうと決めた
まだ心の整理があまり出来ていない
けど
これからまだ行ったことの無い場所へ
まだ見たことの無い光景を見る為に
賞味期限が来るその日まで
彼の分まで出来る限り行ってみようと思う
恐らくこの数年間
ドラムを叩く事は出来なかっただろう
もしかしたら悔いの残る人生だったのでは
あまりにも早過ぎる結末に
胸が締め付けられる
今は自由に動けるようになっただろうか
どうかそうであって欲しい
もしいつか私が死んで
何処かで出会えたら
その時はまた
一緒に音を鳴らしましょうね、
さようなら、またいつか。